「どこに落ちたい?・・・」
フルスクラッチビルドフィギュア


いかがでしたでしょうか?出典は石ノ森章太郎氏の『サイボーグ009』より屈指の名シーン、『地底帝国ヨミ篇』のラストシーンです。現在コミックが複数の出版社から出ているようなので、何巻のどの辺りといういいかたはできませんが、コミックのファンの方ならたいがい思い入れのあるシーンだと思います。
とはいえ、見ている全ての方が御存知ってこともないので、フォトストーリー的に構成してみました。不馴れな文章と画像処理がお恥ずかしい限りですが、自分としてはけっこう楽しんで作りました。

もともとパソコンで何かするより、実際手を動かしてモノ作る方が好きなので、画像処理ソフトってほとんど有効に使っていませんでした。覚えるのに時間かかる、作業にも時間かかる、ってんで、これならプラモ作ってる方がいい!ってなっちゃうんですね。ちゃんとできるか不安だったんですが、今回に関してはやる意義があったので、がんばってなんとか形にしてみました。うまい人なら同じ材料でももっとカッコいいの作れるんでしょうね。ボクにはこれで精一杯です。

さて、石ノ森氏の絵といえば、これはもう、ホントにマンガですね。当たり前だけど。立体を一切想定していません。009の髪型なんかは立体化不可能です。ガチャポンやフィギュアで見かけても、ああ、苦労してんなぁ、ってのばっかですから。
今回は意匠を尊重しつつ、リアルな方向に振って造型しています。特徴的な服の大きなボタンは普通の大きさに。このコート、どうやって着るのか分からないので、合わせを設定して、裾を翻してみたりしています。なお、コートとマフラーはビームを無効化する特殊素材で出来ていると想定しました。
ブーツも細みのロングブーツと想定し、脱ぎ履き用のジッパーをつくり、それっぽくシワの造型をしました。これを作っている頃は、街行くロングブーツのお姉さんの脚もとを見つめるアブナい人になっていたかもしれません(笑)
前述の髪型は、両名ともコミックを見れば見るほど分からなくなってくるので、ここも意匠を尊重しつつ、立体として無理のないかたちに仕上げました。

造型素材は全てファンド。あ、ロボットプラモ改造用のバーニアパーツも一部に使ってます。
石粉粘土っていろんな種類がありますが、へらを押し返してくるゴムみたいな感触のヤツは苦手なので、ソフトファンドっていう商品に落ち着いています。
今回はディスプレイの都合上、粘土のままだと強度的に不安なので、造型後キャストで複製しています。が、もともとヌケとか分割とか考えないで作っているので、出来たパーツは「全てに」修正が必要なただの素材になってしまいました。作った本人がそのパーツを仕上げるのに一ヶ月以上かかるんですからたいがいです。とても人様にお分けできるものじゃありません。

最後に、この作品の作業の終盤にスペースシャトルコロンビア号の悲しい事故が起きました。我々人類が宇宙と地球を行き来することができるようになってもう数十年が経つわけですが、今もって宇宙開発というのは死と隣り合わせなのだなと痛感しました。
亡くなった宇宙飛行士の方々のご冥福を心よりお祈りいたします。   ('03.2/12)


コートとマフラーはビームを無効化する特殊素材で出来ているものとして
想定しています。
ビニールレザーのようなやや硬い生地として、シワの違いを表現しました。
塗装に関してもパールを混ぜたツヤありでそれっぽく塗ってあります。
002の足です。ジェット噴射のため最低でも靴底に穴が開いている必要は
あるわけですが、もう一歩進めてジェットノズル付きにしてみました。
このブーツを履いたとき、ジェット噴射がいちばん効率良くでき、加えて、
排気炎にさらに燃料噴射をして推力をあげるアフターバーナーが使用できる、
ものとしています。
靴底は熱に強く、サイボーグ戦士の激しい動きでもすり減りにくい素材として、
何となく(笑)ツヤあり塗装です。
魔神像の爆発のときに009は銃を失くしました(多分)
ホルスターは空です。
対して002のホルスターには銃が収まっているわけですが、スタイルは既存の
拳銃に似せてあります。
アニメやSFでヘンテコな銃ってよく出てきますが、例えばオートマティックの
拳銃ってその登場から100年、機構もスタイルもほとんど変わらないのです。
人間が手で持つ以上、フォルムは人間工学に基づいたものであることが求められ
ますし、仮にビームガンなんてモノが出てきたとしても、そんなにおかしなデザ
インのものが出てくるとは考えにくいです。
二人を分離すると002はこうなっています。
実は手首は009の方についています。
009はこんな感じ。二人の両膝と002の両手首が接合点となっています。
んで、009はさらに台座に串刺しと・・・
特に必要なさそうなので、塗装後も接着はしませんでした。
作品タイトルは「どこへ落ちたい?・・・」でいいんですが、台座のプレート
の文句はこうしました。
作りたいもののプランって常にいろいろあって、この作品も、作るとしたらこう
したいってことを考えだしたのはもう何年も前だったりします。
その最初の頃からこの文句は考えていました。
やっぱり本当はこうあって欲しいなあということで・・・

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